効率重視の今だからこそ。手触りのあるデザインの可能性

先日、アムステルダムにあるプリントに特化したアートスタジオ「AGA LAB」へ行ってきました。
ここはいろんな機材や道具が揃う、クリエイターにとって実験室のような場所です。
今回は、以前から興味を持っていた「シルクスクリーンプリント」の基礎を学ぶワークショップに参加してきました。

シルクスクリーンとは?

シルクスクリーンとは、簡単に言うと、網戸のような網状の版を使い、インクを通したくない部分を塞ぐことで、意図した形状を紙や布に刷り上げるアナログな印刷技法です。
スタジオには、過去にここを利用したアーティストたちの作品が並んでいました。
一色ずつ丁寧に重ねられたインクの層、デジタルの画面では再現できない圧倒的な発色の美しさ。
近くで見ても、遠くから眺めても、その表現を堪能できる美しさでした。

デジタルとアナログ、その間にあるもの

普段、私はWEBやグラフィックなど、主にデジタルの世界でデザインをしています。
デジタルデザインは、ミリ単位の計算、明快なロジック、そして機能性が求められる美しい世界です。
しかし、時にすべてが整いすぎて、均一になってしまうこともあります。

一方で、シルクスクリーンは「肉体的」です。
というのも、A1以上の大きなサイズにも印刷できる機械を使い、全身の体重をかけてスキージ(インクを押し出す道具)を引く作業は、思いのほか体力が必要でヘトヘトになりました。
ですが、インクの匂いに包まれながら、紙の凹凸やインクの「かすれ」といった偶然の揺らぎと対話する時間は、私にとって五感の刺激となりました。

効率やスピードが重視される現代だからこそ、あえて時間をかけて素材と向き合い、手仕事のプロセスを楽しむ。
知識ではこの印刷技法を知っていましたが、この体験を経て、私の中でデザインの幅がまた一歩広がったように思います。

アナログが生み出す「手触り感」や「不均一な美しさ」のエッセンスを、どうやってロジカルなデジタルのデザインに落とし込み、「体温感」をプロジェクトにどう還元できるか。表現の新しい可能性に、ワクワク。

この日に基礎をじっくりと学び、別の日にはいよいよ自分自身の作品を印刷してきました。
その時の様子は、また次の記事で詳しくお届けしますね!

最近の投稿

コンテンツ